渡航制限が拡大し運休が相次ぐ羽田空港。数少ない利用者が、機体に書かれた「TOKYO2020」の文字を見つめる(撮影/小山幸佑)
渡航制限が拡大し運休が相次ぐ羽田空港。数少ない利用者が、機体に書かれた「TOKYO2020」の文字を見つめる(撮影/小山幸佑)

 連日、増え続ける感染者から東京封鎖が現実味を帯びてきた。東京封鎖は必要か、そのとき何が起きるのか。AERA2020年4月13日号は、舛添要一・前東京都知事らに意見を求めた。

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 東京封鎖となると、何が起きるのか。その意味するところは何か。都の担当者に聞いた。

「ロックダウンという言葉が独り歩きしています。基本的には首相が緊急事態宣言を出した際、都道府県知事に緊急事態措置を行う権限が与えられます。この措置のことを指して、“ロックダウン”と小池知事は言っていると認識しています。改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいたこの手続きしか前提としていません」

 特措法に基づき、首相は期間や区域などを示して緊急事態を宣言できる。対象地域の都道府県知事も、不要不急の外出自粛やイベントの開催制限、学校、老人福祉施設の使用停止などを求めることができる。

 実はすでに同程度の要請はなされており、都が想定しているロックダウン状態と大して変わらないとも言える。

 だが気になるのは別の法律、感染症法33条だ。ここには、交通の制限について規定がある。しかも、政府は3月26日に感染症法の政令改正を閣議決定したばかり。厚生労働省結核感染症課の担当者は、「特措法の改正に伴う事務的な手続きとしての改正で、新型コロナウイルスでも交通の制限をできるようになりました」と言う。

 同法33条では交通の制限、遮断についての文言がある。電車や車の交通の遮断なのか。3月26日の改正はロックダウンとは関係がないのか。

「基本的には関係がないです。文言をみると一見、都市の封鎖ができそうに見えるのですが、これは特定の地域の浄化をするために行う処置です。東京というエリアを封鎖するためには、東京全体が汚染されている確たる状況がないと不可能。ロックダウンは法の趣旨からは外れています」(厚労省担当者)

 ただ一方で、内閣官房新型インフルエンザ等対策室はロックダウンについて、「特措法の範囲でしか検討していません」と、感染症法に基づく措置の可否について回答を避けた。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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