「ポップスター」/銃乱射事件のサバイバーの心的外傷と、ソーシャルメディアの抱える問題を描く人間ドラマ。4月3日公開 (c)2018 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC
「ポップスター」/銃乱射事件のサバイバーの心的外傷と、ソーシャルメディアの抱える問題を描く人間ドラマ。4月3日公開 (c)2018 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC
「抱きたいカンケイ」/発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント、価格1429円+税/DVD発売中 (c)2011 DW Studios L.L.C. All Rights Reserved.TM, R & Copyright(c)2013 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.
「抱きたいカンケイ」/発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント、価格1429円+税/DVD発売中 (c)2011 DW Studios L.L.C. All Rights Reserved.TM, R & Copyright(c)2013 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 AERAで連載中の「いま観るシネマ」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき作品の舞台裏を監督や演者に直接インタビューして紹介。「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しい1本をセレクトしています。

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 アメリカで後を絶たない銃乱射事件。そのなかでもしばしば問題となっているのが、スクール・シューティング(教育機関での銃犯罪)だ。もっとも有名な事件としては、1999年に発生したコロラド州・コロンバイン高校銃乱射事件がある。これは、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー「ボウリング・フォー・コロンバイン」や、ガス・ヴァン・サント監督の「エレファント」などで映画化され、銃社会の功罪が問題視されてきた。あれから20年あまり、スクール・シューティングは減るどころか増加の一途。「ポップスター」は、銃乱射で一人生き残った女性のその後を描く問題作だ。

「この作品に深く関わることを決めたのは、テロの暴力だけではなく、メディアの暴力も描いていたから」というのは、製作総指揮と主演を兼ねたナタリー・ポートマン。

「本作では、現代の暴力は身体的な暴力だけじゃないってことを描いている。ソーシャルメディアは暴力と同等に強烈な影響がある。今って、何もかもが商品になる時代で、テロもポップスターも、政治ですらネットで売り物にされて、消費されているでしょ。注目を浴びることが価値となり、それが人に力を与えてしまう恐ろしさがある」

 クラスメートによる銃乱射事件で一人生き残ったセレステは、姉と共に作った楽曲を追悼式で披露したことによって、スターにまつりあげられてしまう。そのきっかけとなるのがメディア。そこから彼女の人生は大きく変わる。

「友人みなが死んで、自分一人が生き残ったショックなんて、彼女の歌唱シーンをメディアで広めた人には関係のないこと。だけど、そのせいで、彼女は自分のトラウマを売りにしてスターになる道を歩むことになる。人からの注目度だけで商品になってしまった女性よ。だからこそ、この作品自体はフィクションなのに、彼女はリアルな存在に思えるの。だって、今ってそういう人たちが影響力を持っている時代だから」

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