もっと「お金」っぽいコインの使い方も視野に入れている。

「アクトコインを使って、利用者が応援したいNPOなどの団体に寄付ができるようにしたいと考えています。まずCSR活動をアピールしたいスポンサー企業が原資を出します。例えばアプリ上で利用者が3千コインをある団体に寄付すれば、実際に原資の中から3千円が寄付される、といった仕組みです」

 すでに多くの企業から問い合わせが寄せられており、将来的には、寄付と同じ仕組みでクラウドファンディングに出資できるようにもしたい、という。そうなればもう、使い道が限られるとはいえ「ほぼお金」だ。佐藤さんは言う。

「何も決めているわけではありませんが、技術的には、アクトコインを仮想通貨にすることも可能です。『今貯めておけばトクなんじゃないか』と期待してアクトコインに参加し、自分たちの行動を変える人が増えてくれたら、社会にとってはよいことだと思います」

 今年中に現状の約5千人から10万人の利用者数をめざしており、近々、英語版も作る予定だという。

「このサービスには、おトク感とSDGsの理念、その両輪が大事だと思っています」

 ネットショップ支援のシステムを開発しているHamee(ハミィ)は3月24日から、市場で売れずに残り、廃棄されるメーカーなどの「滞留在庫」を、再度流通させて販売する通販サイト「RUKAMO(ルカモ)」を立ち上げた。取締役の鈴木淳也さん(40)は言う。

「バックヤードの管理システムを提供している3849社のユーザー企業のデータを分析したところ、平均で30%ほどの商品が滞留してしまっていること、半年以上滞留している商品の金額は約600億円に上ることが見えてきたんです」

「RUKAMO」では新品の衣類、雑貨、時計、寝具などが売られているが、店頭や他のサイトより価格が安いわけではない。安売りによるブランド毀損を懸念する出品企業側の希望も考慮したという。ただ、購入額の50%分がポイント還元されるので、実質的には半額で買える。

 まずはサイトをのぞいてみてほしい、と鈴木さんは言う。

「生活の一部にSDGsの理念が自然と入っていれば、全体としてうまく回るのではないかと思うんです。RUKAMOで買うことで、出品する企業さんと私たちと生活者さんと、全員でSDGsの活動に参加する形にしていけたらいい」

 買い物でSDGs貢献したい人にお薦めなのが、買い物支援サイトの「buycott(バイコット)」。スーパーなど身近な店で購入できるサービスや商品を掲載しているが、実はすべてがフェアトレード商品や寄付が付いたものなど、社会問題の解決につながる商品だ。

 中でも「SDGsショッピングガイド」のページでは、SDGsのゴールごとに買うべき商品がわかる。例えば(1)貧困をなくそうなら、無印良品で売られているキルギス製のフェルト製品が紹介されている。「どうしても○番のゴールが達成できない」という人は必見だ。(編集部・小長光哲郎)

AERA 2020年4月6日号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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