稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行
稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行
これが我がティッシュボックス。肌着やレギンス、タイツ、タオルなど案外材料には事欠かない(写真:本人提供)
これが我がティッシュボックス。肌着やレギンス、タイツ、タオルなど案外材料には事欠かない(写真:本人提供)

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

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 まだ何が起きるかわからない。そして、わからないということが、ますます何が起きるかわからない状況を生み出している。これは社会的にも精神的にも良くない。

 こんな時は「わからない」ことを想像して不安になるより、まず「わかる」ことを考えたほうがいいように思う。

 ということで、今週はささやかな豆知識を披露したい。

 お題はトイレットペーパーとティッシュ。もう旧聞と思いきや、近所の薬局を覗くと「お一人様一個でお願いします」の張り紙がまだあった。などと思っていたら都知事が外出自粛要請。たちまちスーパーは人で溢れたという。首都封鎖なんてことになればさらなる買い占め騒動が起きるに違いない……と妄想が湧き起こる。イカンイカン。

 なので具体的な話をする。

 少なくともこの2品については、少なくなっても慌てずに済む方法がある。というか、私は慌てない。なぜかといえば、私はトイレ紙なら1ロールで1カ月半もつし、ティッシュに至ってはそもそももう何年も買っていない。

 なぜそんなことが可能なのか。トイレ紙は単純に一回の使用量が少ないのだ。1~2目盛り程度。収納ゼロの家に越してから予備が置けなくなり、長く持たせようと何気に頑張ってきたことがまさかの奏功。規則正しい一汁一菜快便生活であることも大きい。

 ティッシュは、使い古しの下着などを小さく切ってストックして使っている。それでも足りなければ新聞紙など古紙をカットして使う。新聞など使って手や顔が黒くならないかとよく聞かれるが、最近の印刷技術ではそんなことは起きない。そんなミジメなことしたくないと思う方がいるかもしれないが、やってみりゃ別にミジメでもないし、非常時にどうしようもなくなったらそういう手もあると知っておくだけでも焦らずに済むと思う。

 焦るとロクなことがない。ほかにも「あるもの」でなんとかなることはたくさんあるように思う。もしもの時は、そんなアイデアを出し合って乗り切ろうと思っている。

※AERA 2020年4月6日号

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稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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