10年から「バーミヤン」で100円紹興酒や100円梅酒(当時)の提供を開始、15年以降は「ガスト」などでも99円ワインの提供を始めた「すかいらーくグループ」の広報部はこう言う。

「明るい店内で、お子様連れでも気兼ねなく飲めるなどの理由から、ガストでお酒を楽しまれる方は増えており、ニーズに応える形で、お手頃価格のアルコールやおつまみの拡充を図ってきました」

 平日限定で18時まで、角ハイボールなどが200円(税抜き)になる、居酒屋の十八番である「ハッピーアワー」も実施。最近は各ファミレスが1人用のボックス席も増やしている。前出の横井さんはこう分析する。

「かつては4人家族向けのソファ席が中心でしたが、3人や2人の家族も多くなり、どんなに満席でも各テーブルに1人や2人の空席ができてしまう。2人用、1人用の席を増やすことで席の稼働率が上がります」

 10年代以降はケンタッキーフライドチキンがアルコールを提供する大人バージョンの店舗を始めるなど、さらに安くて手軽な「チョイのみ」需要にファストフードも応えるようになっていった。吉野家も一部店舗で、牛皿などをつまみにハイボールなどのアルコールが楽しめる「吉呑み」と呼ばれる業態をスタートして、「ライト飲んべえ」たちを引きつけている。

 一方の居酒屋業界も、飲んべえたちを奪われるのをただ指をくわえて見ていたわけではない。逆に、ファミレスの主力客であるファミリー層を奪いにかかったのが「串カツ田中」だ。

 18年から店内を全席禁煙にし、小学生以下は無料の「ソフトクリームチャレンジ」を採り入れるなどしてファミリー客にアピールしている。1カ月間、400円以下のドリンクが何度でも199円になる「田中で飲みパス(500円)」で、飲んべえへのケアもぬかりない。

 実際に記者が訪ねた店舗では、スーツ姿でアルコールを楽しむパパの向かいに座り、宿題をする小学生の女児の姿もあった。

「串カツを日本を代表する食文化の一つになるよう全国に店舗展開し、小さなお子様が大人になった時にも常連様になって頂けるよう成長し続けてまいります」(串カツ田中ホールディングス広報)

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