これまでも納豆は循環器疾患死亡リスクとの関係が報告されていたが、対象人数が少なかった。それが今回の大規模な研究で科学的に裏付けられたのだ。

 発酵食品は保存性を高めたり、味をよくしたりする目的で生まれたものが多い。発祥がたどれないほど古いものが多いが、結核が日本人の国民病として恐れられていた近代に、研究開発された発酵食品もある。第一酵母が開発した飲料の「コーボン」だ。

 酵母菌はビールやワインづくりの発酵にも使われる微生物で、その数は1千種類以上。「コーボン」の天然酵母は、伊豆にある天城山の大気中や常緑樹に生息していたものだ。

 第一酵母取締役専務の多田一政さんは言う。

「私の祖父が発見し、1950年、発酵飲料を商品化しました。祖父は結核を患ったのを機に大学で生理学を学び、東洋医学も研究しました。その過程で昔から日本人が食べてきた味噌やしょうゆなどに含まれる酵母菌が腸内環境と関わりが深いことに気づいたのです」

 第一酵母では、採取した菌をりんごやみかんなどの果物に付着・自然発酵させて仕込み、1年から1年半かけて発酵、熟成させている。1回分20ミリリットルを水や炭酸などで割って飲む。多田さんは疲れたときには、倍量に増やして飲むという。

 そしてもう一つ、週末腸活に向いているのが、ぬか漬けだ。乳酸菌や酵母菌の発酵で、生で野菜を食べるよりビタミンB群などの栄養が強化される。

 ぬか床の管理が面倒なら、まずは、市販のぬか床を活用して始めるのも一つの手だ。例えば発酵力が強く、増殖が安定している第一酵母のぬか床キットは、冷蔵庫で保存すれば毎日のかき混ぜは不要。漬けた翌日から食べられる。

「疲れたときには、にんにくやしょうがのぬか漬けもいいですよ」(多田さん)

(ライター・角田奈穂子)

AERA 2020年3月30日号より抜粋