しかしくら寿司では、お寿司をレーンに流すために、独自の寿司カバーを開発し、お客さまにお寿司を取っていただきやすいよう、流す順番も毎週のように工夫しているんです。

 なぜそこまでして、お寿司をレーンに流すことにこだわるの?と思われる方もいらっしゃると思います。

 それはお客様に、常にワクワク、ドキドキをお届けし、くら寿司での食事をより楽しいものにしていただきたいからです。

 特にお子様は、「次はどんなお寿司が流れてくるのかな?」「わぁ~このお寿司キレイ~」「これって何の魚かな?」といった感じで、レーンを流れるお寿司を見ていろんなことを感じ、時には驚いたり、感動したりしてくれています。単に注文して届いたお寿司を食べるだけでは、こうした体験にはつながりません。

 例えば誰でも知っている桃太郎のお話は、「大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと川を流れてくる」から聞いていてワクワクするのであって、「道端に大きな桃が落ちていた」ではワクワク感ゼロですよね。

 回転寿司のビジネスモデルの根幹は、お客さまがお寿司が流れてくるのを見て、驚き、感動していただき、お寿司を取って食べていただく体験を提供させていただくことだと考えています。アメリカや台湾といった海外のお店でもこうした点を評価していただき、多くのお客様に来店していただいています。

 そして、レーンを流れるお寿司を取って食べる派の皆さんに、耳寄りな情報を……。

 実は、注文用のタッチパネルには載っていない、レーンにだけこっそりと流れているレアな商品があるんです。

 くら寿司は全国108の漁港の漁師さんと直接取引をさせていただいているほかに、契約する定置網で取れた魚をすべて買い取る「一船買い」という仕入れ方法もとっています。

 そうした中で、全国のお店に提供できるまでの量にはならないけど、とても美味しい魚が入荷することがしばしばあるんです。実はそうした魚を、期間限定、地域限定で、限られたお店のレーンに流しています。

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お寿司を観察すると意外な発見があるかも