防菌寿司カバー・鮮度くん
防菌寿司カバー・鮮度くん
白マグロとも呼ばれる、天然オキサワラのお寿司
白マグロとも呼ばれる、天然オキサワラのお寿司

 以前も書きましたが、最近は回転寿司に来られても、レーンからお寿司を取って食べるのではなく、各テーブルのタッチパネルで注文してお寿司を食べる方が多くなってきています。お店によって差がありますが、平均的には6~7割程度でしょうか。

【「白マグロ」と呼ばれる天然オキサワラのお寿司はこちら】

 さらに最近では、「廻らない回転寿司」と銘打って、お寿司を流すレーンをなくし、注文したメニューを席まで届けるだけのお店まで出てきました。そして新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、当分の間、レーンにお寿司を流さず、注文対応のみにするというチェーンも出てきました。今後、回転寿司の業界にも大きな変化が起きてくるような気がします。

 古い話で恐縮ですが、今から40年ほど前には、回転寿司のお寿司には、お寿司の乾燥防止と空気中のホコリやウイルスなどからお寿司を守るために、プラスチックのカバーがかぶせられていました。筆者は何となく覚えていますが、皆さんは覚えていますか?

 ところが、衛生面の配慮でかぶせているこのプラスチックのカバーが、繰り返し使用されるうちに職人やお客さまが手で直接触るため、かえって不衛生ということになり、徐々に廃止されていきました。

 一方くら寿司では、その後もお客さまに安心してお寿司を楽しんでいただくために、衛生的な寿司カバーはできないかと研究を重ね、ついにお皿を少し持ち上げるだけで、カバーに手を触れることなくカバーを開けてお寿司を取り出せる「鮮度くん」を完成し、2011年から全店に導入しています。

 お寿司をセットする時にも、店員がカバーに触れることがないので、とても衛生的なんです。ヒントになったのは、竹で編んだざるのかごと棒を使って鳥を捕まえるあの仕掛けでした。

 余談ですが、アメリカでは、お寿司にカバーをしなければ回転寿司の営業許可が下りず、さらにそのカバーの洗浄方法まで細かく規定されているほど厳しく衛生管理されています。

 お寿司をレーンに流さず、注文を受けた商品だけを作って提供するようにすれば、お寿司のカバーも不要で、商品の無駄もなくなります。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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