「国内では感染の有無を判定するPCR検査が十分になされていないため、そもそも感染状況を把握できるはずがありません」

 厚生労働省と総務省による公表データから同研究所がまとめた人口100万人あたりのPCR検査数(3月2日現在)は、韓国の約2千人に対して、日本では200人超にとどまっている。イタリアでも約400人と、実施数は日本の倍近くある。

 世界で広がる感染拡大の終息の見通しについても、楽観論に傾く要素は見つけにくいという。インフルエンザ対策の権威で、けいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫医師はこう指摘する。

「夏場になって日本など北半球でいったん終息しても、冬季に突入する南半球で感染拡大の危険性がある。世界のインフルエンザ研究者は概ね終息の見通しを『第2波以降』とみています」

 第2波とは、シーズンをまたいだ次の冬、つまり今年の11月以降ということだ。(編集部・小田健司、大平誠)

AERA 2020年3月23日号より抜粋