OriHimeは、スマホなどで遠隔操作できる卓上型の小型ロボットだ。スマホの画面には、ロボットがいる場所のライブ映像が映し出され、会話も可能。また、拍手やバンザイなど、ロボットを動かしてジェスチャーで意思を伝えることもできる。

「難病や障害で病院から出られない人でも、ベッドの中から気軽に外の人々とつながれます。ほかにもOriHimeを会社に置いて、自宅で子育てしながら働く女性も多いですね」

 2018年からは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者や障害者がパイロットになり、自宅にいながらロボットを動かして接客できる「分身ロボットカフェ」を試験的に展開。常時開設を目指し、現在奮闘中だ。

「カフェでは、国内外にいる32人のパイロットが、ロボットを動かしてコーヒーを運ぶだけでなく、地元の名物や観光名所をプレゼンするなどしました。お客さんにもすごく好評で、ツイッターのフォロワーが千人を超えたパイロットもいますよ」

 ロボットが主役なのではない。動かす「人間」の魅力を引き出すロボットでありたいと、吉藤さんは常々考えている。(ライター・澤田憲)

AERA 2020年3月16日号より抜粋