テキサス大学にある投票所には300メートルの列ができていた。調査では学生の4割がサンダース氏を支持している(撮影/津山恵子)
テキサス大学にある投票所には300メートルの列ができていた。調査では学生の4割がサンダース氏を支持している(撮影/津山恵子)
AERA 2020年3月16日号より
AERA 2020年3月16日号より

 サンダース氏とバイデン氏の戦いとなった米大統領選の民主党候補者争い。AERA2020年3月16日号では、両候補者の支持者層の違いや懸念点などを紹介する。

【図解】サンダース氏vs.バイデン氏 各州の代議員獲得数の状況はこちら

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 ジョー・バイデン前副大統領(77)はオバマ前大統領を支えた人気副大統領だったことから、黒人有権者から根強い支持がある。

 これに対し、バーニー・サンダース上院議員(78)はヒスパニック系と若者に支持者が多い。ヒスパニック系が多い西部ネバダ州では、得票率46%とバイデンの2倍以上を獲得した。彼が開く集会は、選挙権がない高校生なども集まり、一度に2万人以上に及ぶのは珍しくない。

 ただし若い世代は選挙運動に多くの時間を割くのは難しい。学生は勉強に忙しく、就職している場合は週末ぐらいしかボランティアをする時間がない。このため、実際に事務所を訪れるのは、ベビーブーマーだ。

 スーパーチューズデー当日、テキサス州オースティンにあるテキサス大学キャンパス内にある投票所で学生に聞くと、誰もが「ボランティアをする時間がなく、投票だけが自分にできること」と答えた。選挙戦をやや冷めた目で見る若者もいる。

「大統領候補を選ぶのは大事だが、実際に環境問題など自分の生活に必要な政策を決めるのは、ローカルの政治家だ」(23歳学生)、「投票は大事だから来たが、一番重要なのは学業を終えて、収入を得ること。あまり政治に期待はしていない」(20歳学生)

 本選挙となれば、戸別訪問や電話バンキングなど「実働」できるボランティアは重要な役割を果たす。若者と中流階級であるヒスパニック系の支持者に頼るサンダースと比較した場合、暇がある白人年配層の支持が多いバイデン、そしてトランプが有利となる。

 また、サンダースが急進派であることが、民主党内で不安を呼んでいる。ある集会で、彼はこう発言している。

「民主党の支配層を驚かそう」

 サンダースは大企業から選挙資金を受け取っている政治家を「腐敗」と呼ぶなど、伝統的な政治と政治家を容赦なく批判する。本選挙となった場合、ローカルの政治家や中道派の有権者を味方につけられないと指摘する専門家は後を絶たない。すでに「サンダース外し」の原稿は、新聞のオピニオン欄を埋め尽くしている。

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