「突然の休校は、大人が思っている以上に子どもにはインパクトが大きいと考えたほうがいい。普段よりワガママになったり甘えてきたりすることもよくある反応です。『仕方ない』とか『甘えないで』などと切り捨てずに、『そうだね、残念だよね』『嫌だったんだね』と気持ちに寄り添う声がけをしてあげてください。大事なのは十分に話を聞いてあげること。子どもたちは、言語化することで気持ちの整理をつけやすくなります」

 冒頭の男の子のように、学童や保育園に行きたくないと訴える子もいる。とはいえ一人で留守番させられない場合もある。

「気持ちを受け止めつつ、学童や保育園は安全で安心な空間だから行くのだということを、わかりやすい言葉で伝えましょう」

 と森山さん。家に帰ってきた時にはいつも以上にほめてあげることが大事だという。

 留守番も短時間ならいいが長時間は嫌。そう訴えられて困っているという親には、埼玉大学教育学部の吉川はる奈教授(児童学)が、こうアドバイスする。

「LINEやメールでつながっている家庭も多いと思いますが、電話も使って、ぜひ声でつながるようにしましょう。連絡手段を複数用意し、連絡を取り合う時間を決めておくことも安心感につながります」

 小学生以上の子を持つ親にとっては、生活リズムの乱れが最大の心配事。

「ゲームやユーチューブでほぼ一日中過ごしそうで、視力や思考能力、身体能力の低下が心配」「すでにゲームばかり。普段は1日1、2時間で自己管理するようにと言っているが、日中は親の目も届かない。とはいえ、チャット機能を使って、会えない友達とコミュニケーションもしているので、線引きが難しい」

 そんな悩みに、ネット依存からの回復支援サービスも手がける前出の森山さんは「ルールを決めて、連続的に使わないことが大事です」。普段の登校から帰宅時間まではネット環境をオフにするのも一つの手だという。ただし、ルールを親が一方的に決めると子どもは反発して守らないので、親子で一緒に決めるのが鉄則だ。

 子どもの教育支援をしてきた、NPO法人カタリバの代表、今村久美さんは、現状は東日本大震災の被災地の状況と似ていると指摘する。

「被災地では行き場を失った子どもたちのゲームやSNSへの依存が問題となっていました。最近のゲームや動画は区切りがないため長時間はまり、昼夜逆転してしまう子もいます。親もストレスがたまるため親子関係も悪化しがちで、ますます子どもたちはネットに逃避し、出会い系サイトに引っかかるというケースもありました」

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