お魚界の短距離走、金メダルはバショウカジキ
お魚界の短距離走、金メダルはバショウカジキ

 今年はオリンピック・パラリンピックイヤー。いろんな競技の世界トップの選手たちの激しい戦いを日本で観ることができると思うと、今から興奮を抑えられません。

 中でも筆者が個人的に楽しみにしている競技の一つに陸上男子100メートルがあります。

 かつては夢だった10秒の壁を3人もの日本人選手が突破するなど、1932年のロサンゼルス・オリンピックの吉岡隆徳選手以来88年ぶりに、オリンピックの決勝で走る日本人選手が観られるかもという期待に、いまからワクワクしています。

 皆さんご存じの通り、男子100メートルの世界記録は、ウサイン・ボルト選手の9秒58です。これを時速に直すと、37・5キロほどになります。

 陸上動物の最速はチーターで、瞬間的には時速120キロのスピードが出せるそうです。すごいですね。

 では、魚たちの泳ぐスピードはどの程度なんでしょうか? ちなみに水泳の男子50メートル自由形の世界記録を時速にすると9キロ弱になります。

 魚たちの中にもスピード自慢の魚がいっぱいいます。高級魚として有名なクロマグロもその一人(一匹?)です。

 クロマグロは、口を開けて泳ぎながら、海水をえらに送り込んで呼吸をしています、したがって、泳ぎを止めると呼吸ができなくなって死んでしまうため、生まれてから死ぬまで、延々と泳ぎ続けなければならず、泳ぐのに適した紡錘形の体と滑らかな体表、そして強靭な筋肉をもっています。

 「泳ぐために生まれてきた」ともいえるクロマグロの最高時速は80キロ程度と言われています。

 というものの、通常は時速10~30キロ程度で回遊していて、餌を捕食するときや危険から逃げる時などに瞬間的に時速80キロ程度で泳ぐようです。まぁそうですよね。ウサイン・ボルトも、いつも全速力で走っていられるわけではありませんから。

 余談ですが、止まると死んでしまうクロマグロは、どうやって眠っているんでしょうか?

 まだ正確なことはわかっていないようですが、夜間は泳ぐ速度を落として、うとうとしながら泳いでいるとか、数秒間水中を降下しながら眠っているなどの説があるようです。いずれにしても、ゆっくり眠れないなんて、ちょっとかわいそうな気がしますね。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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チーターに匹敵する速さで泳ぐ