「日本国籍でも、外国で生まれ育った子どもたちもいます。ある程度の年齢になってから、子どもを日本に呼び寄せるケースもあり、外国籍の子どもたちと同様に言葉の問題で不就学状態にある学齢期の子どももいます」

 公的な学びの場につながっても、決して十分な支援があるわけではない。文科省によれば、公立の小・中・高校等に通っていて特別な日本語指導が必要な児童生徒の数は、07年度の2万9794人から、18年度には5万1126人にまで増えている。

 そんな彼らへの支援態勢は脆弱だ。例えば東京都で日本語指導が必要な外国籍の小・中学生は2884人いるが、日本語学級で学ぶ生徒数は半数以下の1104人だ。そもそも日本語学級を設置する学校は小学校で23区中11区、中学校(昼間)では7区に過ぎない。

 さらには「学齢超過」(15歳以上)の生徒には、公的に日本語を勉強する場所すらない。母国での学校教育の9年課程が未修了の場合、夜間中学に編入することもできるが、夜間中学は現在、9都府県に33校が設置されているに過ぎない。

 夜間中学などには通わず、中卒認定試験を受けて高校受験資格を得るという道もあるにはあるが、試験は日本語で実施されるため、現実的な選択肢とは言えないだろう。(ジャーナリスト・澤田晃宏)

AERA 2020年3月9日号