──明細書もなければ、領収書もないというのは、どう考えてもおかしいですよね。

 政治家であろうがなかろうが、披露宴でも忘年会でも同じだと思うけど、例えばビール何本とか、料理は立食やったら何人分くらいと、ホテル側と相談するでしょ。そして、ホテル側から明細書が出て、じゃあもうちょっと安うなりませんかとかやりながら、必ず紙で確認するよね。同じですよ、私らも。だから、ホテルが出さない理由はないし、出していないとしたら、大問題なはずです。

──なぜ安倍総理は自らの潔白を証明しないのでしょうか。

 もし、私が安倍総理の立場で、コロナ対策もあるし、一日も早くこの問題を解決したいと思うのであれば、自分の後援会に声をかけて、それなりの数の領収書を集めて委員会に提出します。個人情報が問題であれば国会の秘密会に出せばいい。ただ、それだけのこと。電話一本で、地元に指示できますよ。しかし、それを、やらない。できないんです。言い逃れをしようとすればするほど、国民からは、安倍さん嘘ついとるのではと思われても仕方ありません。

 森友、加計、桜に携わり、真実を知っている官僚は、口を割られたら困るから、出世するんです。あれだけ文書を改竄、破棄してきた佐川宣寿氏は国税庁長官ですよ。一回も記者会見を開いていない国税庁長官っておかしいでしょ。

 また、学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却に関する財務省関連文書の改竄などをめぐり「中核的な役割を担っていた」として、一昨年6月、停職1カ月の処分を受けた財務省総務課長(当時)の中村稔氏は今、駐英公使ですよ。

 今、問題のコネクティングルーム問題、公費を使った女性官僚との、いわゆる不倫旅行疑惑をかけられている和泉洋人首相補佐官も、加計学園の処理を全部やった人だから、安倍総理としては絶対に切れない。

 だから、やっぱりトップ、リーダーが、疑惑まみれになると、官僚も、そしてひいては国民まで巻き込まれていくという危機感で、私はあの言葉を発したわけです。この質問の前に2キロ痩せました。それくらいこっちも、ある意味で腹をくくって、それなりの覚悟で、あの質問席には立っているんです。

(編集部・中原一歩)

AERA 2020年3月9日号より抜粋