※写真はイメージ(gettyimages)
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 NEWSのメンバーとして活躍する傍ら、作家として執筆を続けている加藤シゲアキさんがAERAに登場。執筆活動に向き合う姿勢について、話を聞いた。

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 カメラが向けられた瞬間、柔らかな光が差し込む。“作家”としての加藤シゲアキを捉えようと、シャッターが切られた。

 NEWSのメンバーとして活躍しながら、『ピンクとグレー』で小説家として鮮烈なデビューを飾ったのが2012年。「いまでは、書いているほうが自然」と口にするほど、文章を書くことは生活の一部となった。最新作『できることならスティードで』は、“旅”を広義に捉えた自身初となるエッセイ集。日常のなかで見落としてしまいそうな事柄に目を向け、一つ一つを丁寧に言語化していく。言葉が豊かでないと、できない作業だ。

「本を読んでいましたから、日本語は好きでしたよ。“歌詞”も日本語ですしね。仕事では常にまわりに大人たちがいる環境だったので、彼らに対し『言葉で伝える』ことを必要とする瞬間が多かった。それも大きいのかもしれません」

 キリスト教系の私立校に進学した中学時代、引き出しのなかにはいつも「聖書」があった。国語の教科書を読むのと同じように聖書を読み、自然と“読み解き方”について考えるようになった。

 エッセイのなかでは、漢字の成り立ちが記された字典『常用字解』で、言葉の意味を一から調べる自身の姿も描いている。

「文章を書くようになってからですね。言葉は正しく使わないと、という意識がありますし、原稿に直しがたくさん入って返ってくると、落ち込みますから(笑)」

 文章を書くようになり、好きな作家を以前にも増して尊敬するようになった。読んだ本が唸るほど面白いと、そのたびに打ちのめされる。でも、作家として書き続けるためには「どこか図々しくなければ」とも思う。

「作品をちゃんとつくる、という責任もありますし、『今年出版されたどの作品よりも面白くするぞ』という意気込みのようなものもあります。強気な姿勢は、作品に対する誠意でもあると思うんです」

(ライター・古谷ゆう子)

AERA 2020年3月9日号