2007年から約12年間、アエラでコラムを連載していたぐっちーさんが亡くなって約5カ月。トランプ大統領誕生から、亡くなる直前に書かれた絶筆までの177本を完全収録した遺作、『ぐっちーさんが遺した日本経済への最終提言177』が2月21日に発売された。そんな177本から、編集者が真っ先に読んでほしいと思った「名作」トップ10を厳選。その中から7位「日本人が礼儀正しいなんて嘘」を紹介する。

*  *  *

 ワタクシは職業柄あちこち出張しますが、いつも気になることがあります。飛行機などに乗るときにCAの方が、「おはようございます」「いらっしゃいませ」と声をかけているのに、ちゃんと挨拶を返している人はほぼいません。国際線などでワインをお願いして持ってきていただいているのに、それを黙って受け取っている人がほとんどで、「どうもありがとう」と言っている人はほぼ皆無。男女問わず、むしろ女性のほうが横柄だったりします。

 ひとこと言いたいのは、こういうサービス業をやっている人は、仕事でやっているわけであって、あなたの奴隷ではないということ。アメリカ人はこういうシチュエーションでは必ず挨拶を返します。日本人が礼儀正しいなんて嘘なんじゃないでしょうか?

 こう書くと、金を払ってるんだからそれ相応のサービスを受けるのは当然だという人が必ず出てきます。特に日本の場合は、チップを払っているわけではありませんから、それ相応に、対等なサービス業をやっている人間として、きちんと挨拶くらいできないんでしょうか。

 恐らく横柄な態度を取っている多くの人が、自分がサービスをする側になると、苦労しているのではないでしょうか。なのに、自分が受けるときはやりたい放題というのは本末転倒だと思います。

 飛行機の中に限ったことではありませんね。ほかのシチュエーションでも日本人は極めて横柄で見ていて腹が立ちます。一方でアメリカの飛行機に乗っていると、白人女性のCAにへーこらしている日本人のおじさんたちをたくさん見ます。要するに差別しているということなんでしょう。サービス業の女性を見下すことで自分の価値を下げているということに気がつかねばなりません。豊田真由子議員の例でも分かるように女性も例外ではありません。もっとオッサン臭い、性質の悪い女性ビジネスパーソンは私の周りにたくさんおります。嫌われますが、あえて言うんです。あなた、ご自分の価値を自ら下げるようなまねはやめなさい、と。

 夏休み。旅行される方も多いと思いますが、「いらっしゃいませ」と言われたら「ありがとう」と答えてみたらいかがでしょうか。それを見ているお子様は、そう言うんだと学習してくれるはずです。

※AERA 2017年8月28日号

著者プロフィールを見る
ぐっちー

ぐっちー

ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

ぐっちーの記事一覧はこちら