保育士確保にも、各自治体が知恵を絞る。大阪市は、府外から来た保育士に対し、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの年間パス購入相当額や帰省費用を支給する「大阪市保育士ウェルカム事業」を始めた。香川県は岡山駅や新大阪駅などへ無料送迎バスを出す就職フェアを実施している。

 あの手この手で待機児童削減を目指す自治体。今年、意外な動きもあったと言うのは東京都港区の担当者。同区では保育園の1次申し込み総数が1986人と、前年度と比べて546人減少した。昨秋から始まった幼保無償化で、3歳以上は認可外でも一部補助金が出るようになったため、認可への転園希望者が減ったのかもしれないという。

 この傾向が全国的ならば、来年に発表される待機児童数はまた減るだろう。ただ、いくら見かけ上の待機児童数が減ったとしても、本当に入りたい園に安心して入れている人は一部、という事実は変わらないのだ。(フリーランス記者・宮本さおり、大楽眞衣子)

AERA 2020年3月2日号より抜粋