海上自衛官は航海に出ると24時間拘束され、携帯電話が使えないから、「乗組手当」と「航海手当」を出しても若者に不人気だ。危機的な人員不足の中、病院船に人を割く計画を海上自衛隊は喜ばないが、退官者の再雇用などの策はなくもない。

 昨年まだ十分使えるのに更新した政府専用機「ボーイング777」は2機で940億円。イージス・アショアは別売りのミサイル代や一部の用地取得費などを含めると約6千億円に達しそうだ。辺野古のヘリコプター基地建設には9300億円、18年余も戦いが続くアフガニスタンの治安回復と経済支援にはすでに約7300億円を出している。

 これらと比較すれば、数百億円で日本人の生命を救うのに役立ち、国際貢献で国の評判も高められる病院船のコスト・パフォーマンスは悪くないだろう。(軍事ジャーナリスト・田岡俊次)

AERA 2020年3月2日号より抜粋