10キロのクエを抱えるくら寿司の名物バイヤー、人呼んで「くら寿司のさかなクン」。クエも小さくなる?
10キロのクエを抱えるくら寿司の名物バイヤー、人呼んで「くら寿司のさかなクン」。クエも小さくなる?

 この冬は本当に暖かいですね。2月生まれにもかかわらず寒さが苦手な筆者にとっては、とてもありがたいことですが、もしかして温暖化の影響かも……と考えると、そうもいっていられないですよね。

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 巷でよく言われる「地球温暖化」は、我々が生活している地表のことを指していることが多いと思いますが、先日国会でさかなクンも指摘していたように、実は、海の中の温暖化も着実に進んでいるんです。
 
 海の温暖化が進むとどんな影響が出ると思いますか?

 まず考えられるのは、魚の生息域の変化ですよね。暖かい海に住む魚たちが、どんどん北へと進出し、冷たい水を好む魚たちも北へ北へと生息域を変えていくことになります。

実際、最近では南の海の魚として知られているシイラが北海道で取れたり、西日本が主な漁場だった鰆(さわら)が、東北などでもたくさん取れたりするようになっているそうです。

 それだけだったらさほど悪影響とは言えないかもしれませんが、昨年のサンマの大不漁のように、本来日本近海でたくさん取れていた魚が取れなくなるなどの悪影響も出ていて、日本近海の漁業に深刻な影響を与え始めています。

 また、瀬戸内海の水温が冬になっても下がらないことから、例年では太平洋に出ていく小型のハマチがいまだに瀬戸内海で大量に網にかかっているとのことです。ハマチはある程度の大きさにならないと市場で値段がつかないことが多く、漁師さんたちも困っているそうです。
 
 また、これまで日本近海では見られなかった南方系の魚も取れるようになっており、見たこともない魚が網にかかって、漁師さんもどうしたらいいのかわからないというケースもあるそうです。

 そうした時に漁師さんから頼りにされているのが、「通称・くら寿司のさかなクン」と呼ばれている、くら寿司の天然魚のバイヤーです。

「この魚の名前わかる?」という漁師さんからのLINEにも、即座に的確に回答していることから、漁師さんからも絶大な信頼を寄せられています。
 
 その他、海の温暖化で懸念されているのが、魚の小型化です。

 原理を簡単に説明すると、水温が上がると魚の代謝が上がってより多くの酸素を必要とするようになりますが、水温が上がると空気中の酸素は水に溶けにくくなって水中の酸素量が減り、酸素不足から成長が妨げられるとのことです。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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