三越伊勢丹では、インバウンドの買い物客が多い伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店の旗艦店3店舗で、昨年の春節期間と比べて免税売上高が約2割減った。

「肺炎問題が大きくなってきてからは、とにかく客数が少ないことに尽きます」(担当者)

 もともと売り上げが大きい化粧品や高級時計などで下げ幅が大きい。

「短期的にインバウンドの方々に戻ってきてもらうというのは今はもう考えにくいので、東京五輪後くらいまで見据えた長いスパンで、中国の方を含めた富裕層の方たちにお買い物をしていただけるような仕組みを準備している」(同)

 国内の雇用への影響も出始めた。中国からの訪日客に人気がある家電量販店のラオックス(東京)は、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、17日から希望退職者を募り始めた。退職金の割り増しを条件に本社で140人、子会社のシャディで20人程度としている。

 担当者は「中国からの団体旅行客を中心に集客を行ってきましたが、最近は個人旅行の方々も増えている中で、事業構造改革を進めていました。その流れの中で今回の新型肺炎の問題でお客さんが減り、リストラに踏み切りました」と説明する。(編集部・小田健司)

AERA 2020年3月2日号より抜粋