「ESの書き方」講座には2、3年生が参加。小中学校時代に作文を書いたのは「長期休みの時だけ」という学生が大半だった/2019年11月、法政大学で(写真:梅崎教授提供)
「ESの書き方」講座には2、3年生が参加。小中学校時代に作文を書いたのは「長期休みの時だけ」という学生が大半だった/2019年11月、法政大学で(写真:梅崎教授提供)

 2021年春に卒業する学生たちの就職活動が、いよいよ本格化する。最初の難関といわれるエントリーシートに頭を悩ませる学生は多い。企業は何をどう見るのか。採用担当者の本音から書き方が見えてくる。AERA2020年2月24日号で掲載された記事を紹介する。

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 採用のための会社説明会が解禁となる3月1日が近づいている。2021年卒の採用日程は「3年次の3月に情報解禁、4年次の6月に選考開始」がルール。だが、就活状況の調査・研究を続けている法政大学キャリアデザイン学部の梅崎修教授によると、売り手市場の高まりとともに、企業は前倒しで優秀な学生の囲い込みを始めている。

「実質的には、3年の夏休みのインターン活動から就活は始まっています。ベンチャー企業などすでに内々定を出しているところもあるようです」

 夏には東京五輪・パラリンピックで採用活動が中断する可能性もある。地方の学生を集めるための飛行機代や宿泊代の高騰も考えられることから、企業側には焦りがあるようだ。

 本来なら3年次の年度末に書くものだったエントリーシート(ES)は、インターンへの申し込み、情報解禁時、さらに説明会や面接時にも文章を課す企業があり、実質的に3回書くケースもある。

「自己PR」「志望動機」「大学時代の成長体験」「学業以外で力を注いだこと」など、企業によって課題や項目はさまざまだ。多い場合は30~50社にエントリーする学生にとって、ESは就活の最初の難関といっていい。

 企業の採用担当者は、ESから何を見ようとしているのか。それを知ることが、ES攻略の第一歩だ。

 人事のアウトソーシング企業「モザイクワーク」で、複数の会社の人事部長を兼任する高橋実さんは、こう語る。

「ノウハウ本を丸写ししたり、大学のキャリアセンターの指導の跡が見え見えというESも多く、審査の参考にする程度です。類型化していてあまり面白くありません」

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