宇宙ベンチャーへの転身で「未来に貢献する権利」を手に入れた (2/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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宇宙ベンチャーへの転身で「未来に貢献する権利」を手に入れた

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渡辺豪AERA
ドイツ航空宇宙センター(DLR)の長官(右から4人目)らがispaceを視察した際、月面探査車(ローバー)とともに撮影した一枚。左から2番目が佐藤将史さん/2019年10月、東京・芝公園で(写真提供/ispace)

ドイツ航空宇宙センター(DLR)の長官(右から4人目)らがispaceを視察した際、月面探査車(ローバー)とともに撮影した一枚。左から2番目が佐藤将史さん/2019年10月、東京・芝公園で(写真提供/ispace)

米国で毎年開催される世界最大規模の宇宙カンファレンスIACに参加。1週間にわたるブース展示の解体作業を終えてくつろぐispaceのメンバーたち。左端が佐藤将史さん/2019年10月、ワシントンD.C.で(写真提供/ispace)

米国で毎年開催される世界最大規模の宇宙カンファレンスIACに参加。1週間にわたるブース展示の解体作業を終えてくつろぐispaceのメンバーたち。左端が佐藤将史さん/2019年10月、ワシントンD.C.で(写真提供/ispace)

 中堅になってからは産業界での博士人材の活用促進や特許・知的財産など科学技術マネジメントを担当。そうした中、重厚長大型の大企業が幅を利かせる日本のものづくり業界の体質を変革する壁は厚いと感じていた。米国留学などを経て、こうした構造を打開するのもベンチャー育成がカギになると確信するようになった佐藤さんは、NRIでオープンイノベーションやベンチャービジネス分野を中心に官民コンサルティングを集中的に手掛ける。なかでも活況を呈する宇宙ベンチャーにのめり込んでいく。

 2015年にはNRIに在職したまま、宇宙ビジネスの活性化につながるイベントなどを企画運営する「SPACETIDE」を発足、翌年に一般社団法人化した。利益追求が目的ではなく、無給の副業として仲間とともに立ち上げたものだったが、共同設立者・理事兼COOの佐藤さんは官民を問わず関連イベントや委員会などに招かれ、引っ張りだこになる。

 その矢先、冒頭で紹介したような社内で居づらくなる状況が生まれたのだ。

 佐藤さんは「日本が今、直面している課題に優先して取り組まなければいけない。そのために自分の時間を使わなければならない」と考えていたが、会社の論理は異なる。佐藤さんに社内業務として宇宙業界にかかわってもらうには、NRIのコンサル業務として受注しなければならない。しかし、会社としては利益が見込める仕事でなければ、そうやすやすと受注するわけにはいかない。社内では「儲からない仕事をしていても人は付いてこないよ」「趣味は、やることをやってからやるべきだ」とたしなめられたこともあった。

 2040年には世界で100兆円以上の巨大産業になると予想されている宇宙ビジネス。佐藤さんはその可能性を信じていたが、「儲けよりも、宇宙業界の発展や日本のイノベーション促進に寄与したい」と考える佐藤さんの活動は、会社員としての枠内で働くには相いれない部分が膨らんだのだ。


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