同社代表取締役の角高広さん(31)は新築偏重の不動産市場に疑問を感じていた。

「人口が減り始めているのに新築が増え続けるのは不自然です。中古市場を活性化させたいと思い、サービスを始めました」

 角さんは中古市場が盛り上がらない原因として、「売るストレス」を挙げる。

「家を売るのはものすごく面倒です。仲介業者に連絡して見積もりを取り、内見に来てもらい、価格を決める。実際に売れるまでに1年かかるのはザラですし、売れないこともあります」

 仲介ではなく不動産を直接買い取る業者も以前からあるが、それでも価格決定までに1~2週間、実際の契約までは1カ月以上かかるのが普通だった。すむたすの「最短2日」は、まさに前代未聞だ。

 東京の会社員、城島拓さん(41)は去年、すむたすでマンションを売却した。住み替えを考え、当初は仲介業者に依頼して物件を売りに出したが買い手が付かなかったという。

「いい物件を見つけても、元の家が売れていないから買えずに逃してしまうことがありました。週末のたびに内見の準備をするのもストレスでした」

 すむたすに査定を依頼し、すぐに売却を決めた。

「仲介で売るより多少安いですが、直接買い取りとしては十分満足でした。何より、すぐにストレスから解放されたのがよかったですね」

 すむたすは買い取った物件をリノベーションし、売りに出す。在庫として抱えるのは最大約100日と、同業のなかで圧倒的に短い。100日で売れなかったものは赤字を出してでも同業他社に転売するが、買い取った物件の9割は利益を出しているという。現在のところ、対応するのは東京23区のマンションのみだが、首都圏全域や地方都市圏にも順次拡大していきたいと角さんは話す。(編集部・川口穣)

AERA 2020年2月24日号より抜粋

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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