炎鵬、照強、宇良が「真っ向勝負」を挑む深いワケ 常識を覆す小兵力士の強さの秘密 (2/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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炎鵬、照強、宇良が「真っ向勝負」を挑む深いワケ 常識を覆す小兵力士の強さの秘密

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十枝慶二AERA
大相撲初場所13日目、小結阿炎と対戦した炎鵬。突いてくる相手をかわし、体を沈めて潜り込む。すかさず右足を両手で抱えて持ち上げると、炎鵬より50キロ以上重い155キロの阿炎の体が、フワリと持ち上がった (c)朝日新聞社

大相撲初場所13日目、小結阿炎と対戦した炎鵬。突いてくる相手をかわし、体を沈めて潜り込む。すかさず右足を両手で抱えて持ち上げると、炎鵬より50キロ以上重い155キロの阿炎の体が、フワリと持ち上がった (c)朝日新聞社

 阿炎戦では、相手の足を手で持つ「足取り」で、155キロの両足をフワリと浮かせた。普通は片手だけで持つケースが多いが、炎鵬は両手を使い、しかもいったんしゃがみ込んでから、スクワットのようにヒザを伸ばしている。下半身の力も存分に使ったからこそ、相手が浮いたのだ。

 炎鵬同様、小兵の業師として鳴らした元小結智乃花の玉垣親方が注目するのは、「押し」の強さだ。

「小兵力士は大きな相手の懐に入り、くっついてまわしを取って相撲を取るタイプが多いです。私も舞の海(元小結、相撲解説者)もそうでした。炎鵬もそういう相撲を取りながら、離れて、押しても取れる。今までになかったタイプだと思います」

 初場所も、遠藤、豪栄道、朝乃山戦の決まり手はいずれも「押し出し」だった。出てくる相手をいなして泳がせたりしながら、勝負どころでは正面から堂々と押して相手を土俵の外に運んでいた。炎鵬は押しの大切さを、野球にたとえてこう語っている。

「押しは投手のストレートのようなもの。ストレートが速くないと変化球も生きません」

 小兵だからこそ、真っ向勝負の押しを磨く──。それは、炎鵬と同じく幕内で活躍する小兵力士・照強にも共通する姿勢だ。

 照強は炎鵬とほぼ変わらない169センチだが、体重は約20キロ多い120キロ。その分、押しの威力も増す。ブレークしたのは昨年7月の名古屋場所。終盤まで優勝争いにからみ、12勝3敗の好成績で敢闘賞に輝いた。12個の白星のうち10個の決まり手が押し出し、1個が押し倒し。押しで11勝もつかんだ。しかも、大きな相手にまっすぐぶつかり、いなしたりせずにそのまま押し出す相撲も見られた。

 照強は炎鵬と同学年。1995年1月17日、阪神大震災当日に淡路島で生まれた。初場所6日目がちょうど25年の節目にあたり、話題にもなった。真っ向勝負の押しには、故郷の被災者を相撲で元気づけたいとの思いも込められている。

 2年半前、炎鵬と同じように幕内上位で小兵旋風を起こしたのが宇良だ。今場所、炎鵬が見せた足取りのほか、相手の懐に潜り込み、後ろに反り返ってひっくり返す「反り技」などを武器に活躍。土俵際の粘りも驚異的で、「アクロバット力士」と注目を集めた。


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