──演出する際、相手に「どうしてわかってくれないのか」と思うことはありますか?

 ありますよ。自分の頭の中にあるものを相手に伝えて表現してもらうのは、すごく難しいんです。でも、「ナイツ・テイル」(18年上演)に出演したとき、演出のジョン・ケアードも「ああしなさい、こうしなさいと言ってやらせることが演出じゃない」と言っていて。自分がやってきたことは間違っていなかったと思いましたね。その人のいい部分をしっかり引き出してあげること。そこからこちらもアイデアを得て、演出と演者が双方向で仕上げていく。もちろんそのためには、演じる側も必死で示さなければならない。僕もジョンに対してそうでした。ある意味、勝負みたいなところがあって、面白かったです。

──今年は光一さん演じるコウイチのライバル役を、KAT-TUNの上田竜也さん(36)が演じます。

 彼は見た目がやんちゃなので、それが前面に出てしまうとコウイチを陥れるイヤな奴に見えてしまうかもしれない。だから彼の持つチャーミングな部分や愛情の深さみたいなものを、引き出していきたいですね。

──「SHOCK」の世界は、デビューを目指して切磋琢磨するジャニーズJr.の世界に似ている気もします。実生活で、ライバルがいたことはありますか。

 ないです。前へ出ていくタイプじゃなくて、人が集まったらとりあえず後ろに行こうという気持ちでしたから。それでよくジャニーさんに怒られてましたけど。

──周囲から嫉妬されてイジワルされたことは?

 それはありましたよ。ぶっ飛ばしてやりましたけど。テレビならおもしろいけど、文字にすると誤解を招くから、詳しく言うのはやめておきます(笑)。

──「SHOCK」のコウイチは舞台に夢中で、思いを寄せてくれる女性・リカに対してもつれない気がします。

 そう思っちゃうんですか。違うんですよ。コウイチにはライバルへの配慮があるんです。ライバルはリカを手に入れたい。それは本当にリカが好きなのか、コウイチへの対抗心なのか。コウイチはそこに気づいているから、リカに言い寄られても、「はいはい」とあしらっているわけです。複雑な男心なんですよ。

──光一さんの実際の恋愛は?

 過去を振り返ると、ちゃんと自分から言ってますよ。自分から言うしかないので。人生で告白されたこと、2回くらいしかありませんから。

(編集部・野村美絵)

AERA 2020年2月10日号