こうして日々警戒と監視を強める企業側に対し、逆にハッカー集団は具体的にどんな手口で“対抗”しているのだろう。

 前出の今泉さんによれば、それは人工知能(AI)などの技術を駆使したハッキングだけでなく、地味なチームプレーの積み重ねで成り立つものだという。

 例えば、特定の組織や個人の弱みを握るような依頼があれば、数カ月や1年がかりでその組織に潜入し、なりすましのIDを取得。社内のサーバーや他のデジタル機器に仕掛けをするなどして定点観測をする、といった地道な作業の連続だという。

「スマートフォンにマルウェア(悪意のあるソフトウェア)を仕込むのがうまいやつとか、張り込みが得意なやつとか、分業でいろんなことを一つひとつ実行するために、集団でなければできないのです。テレビや映画のスパイのように一瞬で成果を得られるようなものではありません」(今泉さん)

(編集部・大平誠)

AERA 2020年2月17日号より抜粋