「自分に何かできないか」

 自治体の防犯パトロールのボランティアに応募した。2年前のことだ。

「働き方改革」の波に乗り、会社のフレックス制度も充実し、気兼ねなく年休が取れるようになった。昨年からはPTA会長も務め、地域で頼られる存在として新たな居場所を確立した。

 男性は、課された仕事はこれまで通りこなしながら、「今はワークよりライフのほうが上回っているかな」と明かす。

「出世コースに乗って会社だけの人生を送っていたら、できなかった選択です」

 活動の場を地域に広げることで、結果的に長く社会に貢献できる道を歩み始めている。(編集部・渡辺豪)

AERA 2020年2月17日号より抜粋

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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