一列に並んで、距離計測に出発!
一列に並んで、距離計測に出発!
今回計測したルート。あなたの予想は?
今回計測したルート。あなたの予想は?

 3回連続の特別プログラムも終わり、2月から今年度最後のプロジェクトがスタートしました。たくらみ低学年(小学1・2年生)クラスが新たに取り組むテーマは「地図」です。

【計測するルートはこちら。あなたの予想は?】

 たくらみキッズは、全体を俯瞰する「鳥の目」と細部に注目する「虫の目」を駆使して、思わず人に紹介したくなる発見を書き込んだオリジナル地図づくりに挑みます。

「『地図』と聞いて頭に思い浮かんだことを教えてくれへん?」

 お決まりの問いかけを行い、テーマに関して子どもたちがどのようなイメージを抱いているのかを探ります。

「地図には学区の地図と日本地図、あと世界地図の3種類あると思う!」

 小2のTくんは範囲の違いに着目して、自分にとってなじみのある地図を真っ先に挙げてくれました。

 この発言を皮切りに、次々に意見が出てきます。

「動物園の案内で見たことある。どこにどんな動物がいるかわかんねん」

「駅にある地図は手で触って動かせるよな。地図を押すと、店の情報が出てきたりするし」

「バスの中には路線図が貼ってあるなあ。何号系統がどの道を通るか書かれてる」

「カーナビは紙の地図と違って、(自動で)動く地図って言えると思う」

 まちのさまざまな場所にある地図を彼らは認識しているようです。

「迷子になったら地図を使うイメージがあるわ。僕は迷子になったことないけど」

「地図はどこに何があるか示すものやと思う」

「線や色で表されてる。例えば、川の部分には水色が使われてたり」

「その場所が何かわかるように名前も書かれてるで」

 地図の特徴や用途に関する知識もあれこれ飛び出します。

「地図には地図記号が描かれてんで!」

 不意に小2のSくんから本プロジェクトの鍵を握る言葉が出てきました。

 具体的にどんな地図記号を知っているか教えてほしいと言うと、Sくんは教室の前に出てきて、自分の記憶を頼りに病院を表す地図記号を描いてくれました。十字のマークが特に印象に残っているそうです。

 みんなの意見で模造紙が埋め尽くされていき、彼らの既有知識が明らかになっていきます。

 この日の授業では地図づくりの導入として、まず自分たちの時間感覚と距離感覚を認識することから始めることにしました。

「鴨川デルタをこういうルートでぐるっと一周するのにどれくらい時間がかかると思う?あと距離はどれくらいやと思う?」

 探究堂にとっておなじみの場所を地図で示しながら、子どもたちに質問を投げかけました。

 私たちが歩くのは、北は河合橋と出町橋、西は河原町通り、南は今出川通、東は川端通りとなるルートです。

「どれくらいやろ……」

 予想外の質問に頭を悩ませる様子が見て取れます。

著者プロフィールを見る
山田洋文

山田洋文

山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

山田洋文の記事一覧はこちら
次のページ
いよいよ計測に出発