東京五輪・パラリンピックの開催まであと半年。期間中は世界中から約4千万人が訪れるという推計もある。このまま感染が拡大し、東京発で世界中にウイルスをばらまく事態はあってはならない。

 国民が楽しみにしている五輪を安全に開催するには、そのための準備が必要だ。だが、現状の対策で万全か。

 有馬さんは「今の危機管理は緩い」と指摘する。

「武漢から邦人を帰国させるのも、タイミングが遅かった」

 実際に、帰国者も含めて国内の感染者は増え続けている。

 もう一つが、「4月案」が浮上している習近平(シーチンピン)国家主席の訪日だ。昨年5月のトランプ米大統領に続く国賓だ。

 大騒ぎにしたくないという空気が生まれ、状況判断を誤りはしないか。危機に必要な対応をとることができるか。

 日本には、民主党政権時代に東日本大震災による福島の原発事故で危機を過小評価し、混乱を招いた経験がある。リアルタイムで必要な情報を国民に開示することが大切だ。(編集部・小田健司)

AERA 2020年2月10日号より抜粋