私たちは桜を見る会の本丸は、その前日に行われた「前夜祭」だと思っています。安倍首相の説明では、5千円の領収書をホテル側から参加者に渡したそうですが、いまだに、どこを探しても、その領収書は現認されていません。私は代表質問の冒頭で安倍首相に対し、本当に領収書があるならば、安倍事務所が相当数の領収書を後援会から回収して、国会に提出するように求めました。簡単なことです。この領収書は首相の潔白を証明するものですから。しかし、再調査はしないと安倍首相は明言。であるならば、我々も追及をし続けるしかありません。

──安倍首相は潔白の証明になる前夜祭の明細について、ホテル側の言葉を引いて「営業の秘密に関わることから公開を前提とした資料提供に応じかねる」と弁明しています。

 公開できないのであれば、国会の秘密会でやればいいんです。憲法57条で「出席議員の3分の2以上の多数で議決した時は、秘密会を開くことができる」とあります。これを使えば、明細書を公開する必要はない。民主党政権時、尖閣諸島沖で発生した中国漁船衝突事件の時、国家機密だった海上保安庁の動画を、秘密会で国会議員にだけ見せたことがありました。できるんです。やろうと思えば。

 これに加えて、安倍首相が「廃棄した」と繰り返している、桜を見る会の招待者名簿を包み隠さず開示すれば、すぐにでも全容解明は可能となり、このような国会審議をする必要がなくなります。潔白なのであればどれも簡単なことではないでしょうか?

──与党やその支持者からは、国会で桜を見る会などのつまらない問題ばかりやるなという声もあります。

 私たちも桜を見る会をことさらにやりたいわけではありません。しかし、議院内閣制の日本において、与党と内閣が一体化しているからこそ、国会の行政監視機能として野党の果たす役割は重要です。野党が全容解明に全力を尽くさなければ、安倍政権下で破壊された日本の議会制民主主義や文書管理、国会の行政監視機能を取り戻すことはできません。

 だからこそ、今の政権のあり方、そして国会の状態が異常であることを、国民の多くの皆さんに知ってもらいたい。安倍政権の異常さを象徴的に顕在化したのが桜を見る会なんです。

 政治のトップ、そして、官僚が平気で嘘の答弁をしたり、自分たちに都合よく文書を改竄したりすれば国民は何を信じていいのか分からなくなります。ですから、この現状に対して有権者はもっと怒ってもいいのではないでしょうか。

(編集部・中原一歩)

AERA 2020年2月10日号より抜粋