東京オリンピック(7月24日~8月9日)・パラリンピック(8月25日~9月6日)が、あと半年に迫ってきた。世界最大のスポーツイベントを成功に導くために、科学の力も借りながら準備が進められている。小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」2月号では、「東京オリ・パラ 科学で進化!」を特集。そのなかに掲載された記事を紹介する。

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 開閉会式や陸上競技などが行われる新国立競技場は、1964年の東京大会で使われた競技場を建て替えたものだ。パッと見て印象的なのは、木材がたくさん使われていること。

 建物の周りを囲む軒ひさしは、全国47都道府県のスギやマツでつくられた。競技場の外周には、最上階までたくさんの木が植えられている。しかも、太陽や自然の風を取り入れる工夫や、太陽光発電など、環境にやさしい配慮もあちこちに施されている。

 設計に携わった建築家・隈研吾さんの、「木のぬくもりがあって、みんなが親しめる場所にしたい」という思いが込められた「木と緑のスタジアム」なのだ。

 新国立競技場の自然にやさしいポイントは以下の4つ。

●地球にやさしい太陽光発電&雨水利用

 大屋根の内側縁のガラスには、透明な太陽電池をグルッと設置。環境にやさしい自然エネルギーで、必要な電力をすべてまかなう。大屋根を利用して雨を集め、芝への散水などに利用するシステムもある。

●自然の光で芝を育成

 大屋根の一部が不規則な形で透けていて、建設途中のようにも見えるけれど、そうではない。わざとガラスにして木漏れ日のように太陽の光を採り込み、芝を育てるための工夫だ。天然芝が育つのにちょうどいい光が入るよう、コンピューターで計算して形が決められた。

●公園の散歩道のような「空の杜」

 スタジアムの最上階には、グルッと取り囲むように、1周約850メートルの「空の杜」という空間がある。木や植物が植えられ、市民が自由に出入りできて、公園のように散歩したりもできる。

●大きなひさしから自然の風

 いちばん上にある「風の大びさし」は、外からの風を取り入れ、会場内の熱を逃がす。しかも、暑いときには観客席に涼しい風が入り、逆に冬は冷たい風が上に逃げるよう、角度などが計算されている。

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AERA編集部
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