──受験生の多いマンモス大学では実施が難しそうですね。

紅野:私が勤務する日本大学文理学部がまさにそうです。ですから試験は一部を除いて大半がマークシート式で、工夫しながら作問しています。不十分な部分は認識していますので、初年次教育の小論文指導でカバーしています。無理に入試に押し込まなくても、記述力、表現力を伸ばす手立ては色々あります。大学4年間で力をつけていけばいいのですから。

●鼎談参加者

南風原朝和(はえばら・ともかず):東京大学名誉教授。広尾学園中学校・高等学校長。日本テスト学会副理事長。専門は心理統計学、テスト理論。東京大学理事・副学長、高大接続研究開発センター長などを務めた

羽藤由美(はとう・ゆみ):京都工芸繊維大学教授。専門は応用言語学。コンピューター方式のスピーキングテストを開発し、同大の英語プログラムやAO入試で実施している

紅野謙介(こうの・けんすけ):日本大学文理学部教授、学部長。専門は日本近代文学。筑摩書房高等学校用国語教科書編集委員。著書に『国語教育 混迷する改革』(ちくま新書)など

(構成/編集部・石田かおる)

AERA 2020年2月3日号より抜粋