佳子さま(25)の言葉を、我が理由にかえさせていただきたい。昨年3月、国際基督教大学(ICU)卒業時に公表した文書からの引用だ。

「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。ですので、姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」

 そもそも、親に借金がある人と結婚している人はこの世にたくさんいる。私が眞子さまなら、「ダメなら先に言ってほしかったんですけどー」と開き直るところだ。もちろん眞子さまはそんなことはせず、公務にいそしみ、インターメディアテクでの特任研究員という仕事もこなしている。不憫(ふびん)なり。

 そんな私の目に飛び込んできたのが、眞子さまの歌だった。1月16日、皇居・宮殿で開かれた「歌会始の儀」で詠まれた。

<望月に月の兎が棲まふかと思ふ心を持ちつぎゆかな>

 お題は「望」。一読し、なんて内省的なのだと思った。過去の歌と比較すれば一目瞭然だ。

 歌会始は天皇、皇后をはじめ、成人した皇族が参加する。眞子さまのデビューは2012年だった(お題は「岸」)。

<人々の想ひ託されし遷宮の大木(たいぼく)岸にたどり着きけり>

 少し飛んで15年のお題は「本」。

<呼びかける声に気づかず一心に本を読みたる幼きわが日>

 昨年は「光」。

<日系の百十年の歴史へて笑顔光らせ若人語る>

 眞子さまの懸命さと賢明さが伝わる歌が並ぶ。ここで紹介しなかった歌も含め、昨年までは全て「場所」または「過去」の情景を切り取っていた。今年切り取ったのは、心だ。

 素人なりに口語訳してみるなら、「満月を見て、兎(うさぎ)が棲(す)んでいると思う。そんな心を持ち続けたい」といったところか。

 日刊スポーツが「月の伝承を取り上げ、豊かな想像力を持ち続けることへの憧れを表現した」と伝えていた。私の意見は少し違う。「純粋さ」を詠んだのだと思う。

 子どもの頃、月にうさぎがいると信じていた。ところが大人になってしまうと、満月を見ても「うさぎがいる」とは思わない。だけど「うさぎがいる」と思う、純粋な気持ちを持ち続けたい。そういう眞子さまの意思を表明した歌だと思う。

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