まるでご近所同士の会話のように子育てを開示し合う雰囲気は、子育て未経験の社員にとっても「プライベートに関する話を気軽にできる“心理的安全性”につながっている」(同社の30代未婚女性社員)という。

 マネジメント層が会社を離れる期間の業務は問題なく回るのか?という疑問について、佐々木さんは「トップが1週間空けて回らなくなるくらいでは、組織として未熟」と言い切る。

「要は日頃から“チームマネジメント”ができているかどうか。僕は意思決定の結果だけでなく、『なぜそう考えたか』という“過程”まで常に全社で共有するようにしてきたので、特に心配ありませんでした。むしろ、もう少し休んでもよかったんじゃないかと思うほど、会社は回っていましたね」

 佐々木さん不在の間に、普段出ない会議に参加する社員が増えたり、思わぬところで意思決定が必要になったりと、社員に新しいチャレンジの機会が生まれた。それが組織力の強化につながったと実感している。(ライター・宮本恵理子)

AERA 2020年2月3日号より抜粋