生活クラブ生協は地域の生産者の協力やこれまでのネットワークを生かしながら自然エネルギーの電気を調達してきた。その発電所の数は、全国で62カ所。電気料金は各電力会社と同等額で、万一電力が不足した場合はパートナーの電力会社などから供給を受けるため停電の心配はないという。

 再生可能エネルギーへの転換や省エネの議論になると、停電の可能性、電気代、財源、日本経済への影響などが必ず問題になる。東北大学大学院環境科学研究科の明日香壽川教授(60)が関わる研究者グループは、このような懸念をひとつずつ払拭するために、米国でのグリーン・ニューディールの議論を参考にしながら、現在の政策への具体的な対論となる「原発ゼロ・エネルギー転換戦略」を策定した。

「これまで産油国などに払っていた化石燃料の輸入額年間約20兆円の多くの部分が国内投資に回るのがエネルギーシフトなので、日本経済全体にとって必ずプラスです。再エネはすでに多くの国・地域で最も安い発電技術となっており、さらなる価格低下も見込まれます。回収年数が短い省エネ投資案件はたくさんあります。今のエネルギー・サービスの質を落とさずに脱原発と脱温暖化を同時に達成することは可能であり、経済的にも好ましいです」(明日香教授)

(編集部・小柳暁子)

AERA 2020年2月3日号より抜粋