※写真はイメージ(gettyimages)
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エコ効果が高いのはどれ?(AERA 2020年2月3日号より)
エコ効果が高いのはどれ?(AERA 2020年2月3日号より)

 地球にやさしく、エコに生きたいという気持ちはある。でも、牛肉はダメ、飛行機に乗ってもいけないと言われると、息苦しさも覚えてしまう。AERA2020年2月3日号では、エコ・ストレスを特集した。

【図を見る】CO2!エコ対策でどれだけ減らせる?

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 2019年9月。川崎市の会社員女性(34)は、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(17)をテレビで見て、申し訳ない気持ちになった。

 共働きをしながら2歳児の子育てをし、2人目を妊娠中。多忙な毎日で、明らかに独身時代より電気を使う量が増えた。乾燥機付き洗濯機、食洗機、電気調理鍋、浴室用暖房、寝る時のエアコン……。どれも独身時代は使っていなかったが、いまは時短や子どもの健康を考えると、使わざるを得ない。

 温めるだけで食べられる総菜もたくさん買うようになったので、プラスチックごみも増えた。荷物が多いのでマイボトルを持ち歩く余裕がなく、出先でペットボトルを買うことも多い。子どもは食べ残しが多く、食品ロスが発生するのは日常茶飯事だ。ネット通販からは毎日のように荷物が届く。梱包用の段ボール、ビニールでごみが増える。配達の輸送で排出するCO2も増えているのだろうが、便利だからやめられない。女性は言う。

「これをすべてやめてしまうと、とても生活が回らないしストレスになる。環境にやさしく生きたいという思いはありますが、一体どうすればいいのでしょうか」

 環境問題(エコロジー問題)は多岐にわたるが、いま、喫緊の問題として取り上げられているのは気候変動問題だ。それを止めるために、温室効果ガスを削減することは国際的な課題となっている。

 一方で、国連気候行動サミットに出席した小泉進次郎環境大臣(38)がステーキ店で食事をしたことで批判を浴びるなど、環境問題にはさまざまな議論がつきまとう。本当に効果的な環境対策とは、どんなものなのか。個人のエコ活動に、どれほどの意味があるのだろうか。

 まずは食について考えてみる。小泉環境相の一件以来、環境負荷の高い食べ物の代表格となった牛肉。なにがそんなに環境に悪いのか。水ジャーナリストの橋本淳司さん(53)はこう語る。

「牛肉生産は飼料として穀物を大量に消費し、水も大量に消費します。鶏肉や豚肉と比べても、牛肉が飛びぬけて環境負荷が高いことは確かです」

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