「カジノが始まれば、市の治安が悪化する恐れがある。市長は、IRは白紙と言いながら選挙に当選したのだから、市民からの信任を改めて問うべきだ」

 神奈川県保険医協会の医療情報部で副部長を務める医師の藤田倫成さんは、ギャンブル依存症への警鐘を鳴らす。

「ギャンブル依存症治療は難しく、医療機関もごくわずかしかない。最大の予防はギャンブルの機会を増やさないことなのに、カジノを作ってしまえば逆に患者を増やしてしまう」

 市長のリコール運動も始まった。横浜市民で憲法学者の小林節さんは賛同の立場だ。

「カジノはそもそも博打。生産性もなく、人の射幸心を利用して儲けたもので財政を潤そうなんて政策的に筋が通らない。経済の牽引車になれるはずもなく、特定事業者と行政が潤うだけだ」

(ジャーナリスト・桐島瞬)

AERA 2020年1月27日号より抜粋