宝仙学園理数インター/「入試理数インター」の様子。学校で行っている授業を、そのまま入試に展開。子どもたちは前のめりにチャレンジしている(写真/同校提供)
宝仙学園理数インター/「入試理数インター」の様子。学校で行っている授業を、そのまま入試に展開。子どもたちは前のめりにチャレンジしている(写真/同校提供)

 中学入試も多様性の時代。公立一貫校から始まった適性検査型入試が、形を変えて私立に拡大している。その先進性は「大学受験に影響」との声もある。AERA 2020年1月27日号は「公立中高一貫校」を特集。適性検査型入試と大学入学共通テストの関係とは。

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 中学入試で、適性検査型の試験を導入する私立が増えている。適性検査型とは従来の4科テストではなく、科目合科型や作文などで選抜する新しいタイプの入試。非教科型、思考型、PISA型などとも呼ばれている。

 首都圏模試センターの調べによると、首都圏を中心とした実施校は2014年に38校だったのに対して19年には約147校に、応募者数は2千人から約1万3千人に拡大した。その経緯を首都圏模試センター教育研究所の北一成(きたかずなり)所長はこう分析する。

「3年間塾通いをさせるのではなく、習い事など子どもに好きなことをさせながら受験させたいという親が増えてきた。そのため通塾が緩やかですむ、適性検査型が選択されるようになったのです」

 教科を横断する合科型や、作文や小論文などの記述が中心だが、最近ではペーパーテストだけでなく、レゴブロックを使う思考力ものづくり(聖学院)、日本語リスニング(宝仙学園共学部理数インター)、理科実験(共立女子第二)などに発展。19年にはプログラミング(相模女子大)も登場した。単独で行ったり、作文や教科テストと組み合わせて実施するケースもある。

 私立の中高一貫校が採用するこれら適性検査型は、実は公立中高一貫校が行っている「適性検査」に端を発している。「受験エリート校」になってはいけないという理由で知識を問う問題を避け、思考力、読解力を見る内容に特化した。そのため、あらかじめ出された答えに対して「なぜそうなったのか」経緯を考えさせたり、自分の考えを記述させたりする問題が多い。

 公立中高一貫校対策専門塾、早稲田進学会の大島茂塾長は「脳みそに汗をかく問題」と評している。知識を問わないという束縛で試行した問題が、逆に今の教育で重要視されている「思考力」や「記述力」を測る試験として注目されているのだ。

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詰め込みの知識ではない