受験生たちは、イヤホンマイクの上に防音用イヤーマフをしてタブレットに向かい話す。昨年12月下旬の「プレテスト」の様子(撮影/横関一浩)
受験生たちは、イヤホンマイクの上に防音用イヤーマフをしてタブレットに向かい話す。昨年12月下旬の「プレテスト」の様子(撮影/横関一浩)
英語スピーキングテストの全体スケジュール(AERA 2020年1月20日号より)
英語スピーキングテストの全体スケジュール(AERA 2020年1月20日号より)

 大学入学共通テストで頓挫した英語民間試験が21年度から都立高校の入試に導入される。スピーキングテストで「話す力」はつくのか、公正な採点ができるのかなど、課題は多い。AERA 2020年1月20日号ではスピーキングテスト導入に伴う教育現場の声を紹介する。

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「Hello! How are you?」

 昨年12月下旬、東京都内の高校で開かれた「中学校英語スピーキングテスト」のプレテスト(試行テスト)。都内の公立中3年約90人がイヤホンマイクを装着してタブレット端末に向かって声を出し、しっかり録音されたか確認した。この後、タブレット端末の画面を見ながらマイクで解答を吹き込む形式で、約15分間のテストが実施された。

 大学入学共通テストでは、英語の「話す力」を問う民間試験の導入が公平性を欠くなど様々な批判を受け頓挫した。都立高の入試では、現在の中学1年生が受験する再来年の2021年度から英語を話す技能を評価する「中学校英語スピーキングテスト Supported by GTEC(ジーテック)」の導入が予定通り進められている。GTECとは、ベネッセコーポレーション(本社・岡山市)が運営する「読む・聞く・話す・書く」の英語4技能検定。スピーキングテストは都がベネッセと「協定」を結んで実施する。冒頭で紹介したのは、そのためのプレテスト。昨年11月から12月にかけ、都内77校約8千人の中学3年生が受けた。今後は、「確認プレテスト」(20年度)を経て、21年度以降の高校入試に導入されることになる。

 東京都教育委員会によれば、本番の試験日は21年11月第4土曜から12月第2日曜までの土日・祝日で、受験料は都が負担の予定。試験問題は、ベネッセと都教委が共同で作成するという。

 スピーキングテストの狙いは、一言でいえば「グローバル化」への対応だ。都教委の国際教育推進担当課長の清野(きよの)正氏は説明する。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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