ゴーン被告の逃亡劇があぶりだす日本司法制度の矛盾 日本は「不思議の国」なのか? (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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ゴーン被告の逃亡劇があぶりだす日本司法制度の矛盾 日本は「不思議の国」なのか?

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大平誠AERA
カルロス・ゴーン氏をめぐる主な出来事(AERA 2020年1月20日号より)

カルロス・ゴーン氏をめぐる主な出来事(AERA 2020年1月20日号より)

ゴーン被告の会見趣旨(AERA 2020年1月20日号より)

ゴーン被告の会見趣旨(AERA 2020年1月20日号より)

会見場に入る日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告。会見はゴーン氏自らが選んだ12カ国の60社だけを集めて行われた/1月8日、レバノン・ベイルート (c)朝日新聞社

会見場に入る日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告。会見はゴーン氏自らが選んだ12カ国の60社だけを集めて行われた/1月8日、レバノン・ベイルート (c)朝日新聞社

「残念ながら、この国では刑事被告人にとって公正な裁判など期待することはできない。裁判官は独立した司法官ではない。官僚組織の一部だ」

 米国などでは弁護士などの法律専門家として十分な経験を積んだ者を裁判官に選任する「法曹一元制」をとっており、裁判官を選挙で選ぶ例も多い。一方、日本では司法修習を終えて任官された裁判官は、長期雇用を前提として採用された「職業裁判官」であり、全国の地高裁を異動して経験を積んでいく。

 島弁護士は20年ほど前、ワシントン州立ワシントン大学ロースクールで客員研究員をしていた。当時を振り返ってこう語る。

「任官されて間もない日本の裁判官が、派遣されて留学していました。それを見た米国人の裁判官が『日本ではあんな若者が裁判官をやっているのか』と仰天していました」

 彼らは官僚と同様、最高裁判所長官を頂点としたピラミッド型の階層に組み込まれており、これを「キャリア制」と称して独立性を疑う声は常にある。ブログの意図や背景について高野弁護士に取材を申し込んだが、回答は得られなかった。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルは9日の社説で、ゴーン氏が迷い込んだ日本の司法制度は「奇妙なものだ」と批判し、「不思議の国のゴーン」と評した。各方面を驚愕させた想定外の逃亡劇は図らずも、日本の司法制度を見直すきっかけにはなりそうだ。しかし、島弁護士はこう警告する。

「今回の逃亡は、財力も人脈も桁外れのゴーン被告だからこそ可能だった超レアケースで、これを一般化してはなりません。ゴーン被告に逃げられたから保釈はダメではなく、この経験を新たな制度づくりに生かすことが急務でしょう」

(編集部・大平誠)

AERA 2020年1月20日号より抜粋


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