沖縄県民を対象にした17年のNHK調査では「本土の人は、沖縄の人の気持ちを理解していると思いますか」との質問に、「十分理解している」「まあ理解している」は19%、「あまり理解していない」「まったく理解していない」は70%だった。「ここ5年ほどの間に、沖縄を誹謗中傷する言動や行動が増えたと感じますか」との質問には、「感じる」「どちらかといえば感じる」が57%に上った。

 沖縄の基地負担や被害の偏りは解消されず、沖縄と本土の意識のギャップは拡大している。この現実すら本土からはかすんで見えない。それでもなお、本土世論の変化に期待をつなぐ沖縄の人々に何と言えばいいのか。楽観は微塵もない。しかしあえて言うなら、答えは分断を強いる政治に向き合う私たちの意識の中にある。(編集部・渡辺豪)

AERA 2020年1月13日号より抜粋

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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