基礎代謝は年齢とともに低下する。男性で15~17歳、女性で12~14歳がピークだ。森さんによると、体を動かす要であり基礎代謝量を増やす筋肉は、30歳を超えたあたりから、何もしないと年1%程度ずつ減る。年とともに内臓機能も低下するので、基礎代謝は下がる一方なのである。

 ここで素朴な疑問をぶつけてみた。森さんはピラティスや筋肉トレーニングを行うスタジオを運営する運動指導者だ。なぜ「食事で痩せられる」と主張するようになったのか。

「長年、トレーナーとして指導をしながら気づいたのは、『結局、体形が変わる人は食事を変えた人だ』ということでした。丸1日、マシンを使って鍛えることを繰り返しても体重が減らないケースがある。よく聞いてみたら、単に好きなものをたらふく食べたいから運動している人が実に多かったのです」

 そもそも太ったのは運動不足より食生活に原因があるのに、「私は運動不足だから太っている、だから運動すれば痩せる」と信じている人も珍しくない。

「1週間で考えてみましょう。食事は1日3食、合計21回もある。ジムでの運動は週2回と考えると、太るか痩せるかを決める要因の大部分は食事。運動もすばらしいのですが、栄養を正しく摂取して代謝を上げることこそダイエットの最重要ポイントだと考えるようになりました。運動は、女性ならキュッと上がったヒップになる、男性ならスーツの似合うがっしりした肩になる、などのボディーメイクのために楽しんでほしい」

 森さんの“栄養を正しく摂取して”という言葉を強調したい。間違った食事法で体重を落とすと痩せるのではなく、やつれる。見た目が老けてしまう。体内の代謝機能がさらに低下して、痩せにくい体質になる。

 ここで編集部員、中島がハッと顔を上げた。実は7年前に糖質制限で約25キロ落とした経験があるのだ。それ以来、米やパンを極力食べない生活が当たり前になっている。副編集長の上栗も、1年前から緩めの糖質制限を続けてきたが、最近はあまり効果を感じられなかった。2人がリバウンドした理由は、極端な糖質制限ライフと間違った食事を続けすぎたせい?

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