安浪:勉強効率でいうと朝型・夜型というのもあります。私はいつも人によって朝型か夜型かは違うので、朝が弱い子は無理に朝型に切り替えなくていいと言っているのですが。

枝川:朝型か夜型かは決して気合が足りないとかの根性論の話ではなく、実は遺伝子で決まるんですね。朝型に強い遺伝子と夜型に強い遺伝子があるとわかってきていて、遺伝子的に早起きして勉強するほうが向いている子と向いていない子がいるんです。

安浪:入試は午前中が多いので、朝が弱い子は入試の1週間ぐらい前から早起きに慣れさせてあげましょうともお伝えしているのですが……。

枝川:朝型にシフトできない子は、ぎりぎりまでやりやすい時間帯で勉強させてあげて、試験日の少し前から慣らし運転していくのがよいと思います。その場合、1週間だと短いこともあるので、2週間ぐらい前からリズムをつけてあげるといいですね。

 ヒトの体には「サーカディアンリズム」と呼ばれる生体リズムがあって、これが24時間より少し長いんです。なので、リズムは後ろにズレやすく、起きる時間も遅くなりやすいのです。夜型タイプで朝に弱い子は、入試当日の起床時間に「サーカディアンリズム」を合わせていくことが大事です。リズムを調整するうえで有効なのが太陽の光なので、起床時間が来たらカーテンを開けて脳を目覚めさせる。そうやってリズムを調整していくといいですね。

 試験当日は脳だけでなく体のコンディションも大事になります。おなかの調子まで考えるともっと長くかかることもありますが、だいたい2週間と考えてよいと思います。

安浪:受験生の親御さんたちは3カ月前くらいからがんばる方が多いのですが、2週間ぐらいでよいというのは心強いですね。脳によい起こし方もあるのですか?

枝川:起きた瞬間の気分は一日引きずりますから、ぜひやさしく起こしてあげてください(笑)。眠りのサイクルでいうと、浅い睡眠で目覚めるのがいちばんスッキリ目覚めやすい。起こすときは体を軽くゆするなどして、深い睡眠から徐々に浅い睡眠にもっていってあげるといいと思います。浅い睡眠になると、まぶたの下で目が動きますから、そのタイミングでカーテンを開けて、部屋の中を明るくするのもいいですね。目覚ましの音よりも、光の情報のほうが脳の覚醒には強く効くんです。それから試験当日などの大事な日の前日は、寝る前に「○時に起きる」と子ども自身が宣言して眠るのもよい方法です。本人に起きようとする気持ちがあると、脳はその時間にきちんと目覚めるようになっているんです。

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