【東京大学】阿部飛雄馬選手(23、右):教育学部4年。学部卒業後は大学院の教育学研究科に進む。2020年3月にはびわ湖毎日マラソン大会に出場予定。「東京マラソンにいずれ出たい。目標はエリート枠です」/【慶應義塾大学】司代隼選手(20):法学部政治学科2年。「長距離ではメンタル面の要素が大きいと思う。個人競技ですが、チーム競技の要素もある」。予選会での敗退を受けミーティングを積み重ね、チーム要素が強まったという(撮影/写真部・小山幸佑(阿部さん)、慶應義塾体育会競走部提供(司代)
【東京大学】阿部飛雄馬選手(23、右):教育学部4年。学部卒業後は大学院の教育学研究科に進む。2020年3月にはびわ湖毎日マラソン大会に出場予定。「東京マラソンにいずれ出たい。目標はエリート枠です」/【慶應義塾大学】司代隼選手(20):法学部政治学科2年。「長距離ではメンタル面の要素が大きいと思う。個人競技ですが、チーム競技の要素もある」。予選会での敗退を受けミーティングを積み重ね、チーム要素が強まったという(撮影/写真部・小山幸佑(阿部さん)、慶應義塾体育会競走部提供(司代)
箱根駅伝コース・高低差マップ【1】(AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号より)
箱根駅伝コース・高低差マップ【1】(AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号より)
箱根駅伝コース・高低差マップ【2】(AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号より)
箱根駅伝コース・高低差マップ【2】(AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号より)

 お正月の風物詩、箱根駅伝の号砲が鳴る。関東の大学のみが出場するレースだが、いまや人気は全国区だ。「いだてん」の金栗四三が発案した第1回から100年。五輪イヤーの幕開けを飾る今年の箱根は。AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号では、「陸上競技マガジン」を中心に20年にわたり箱根駅伝を取材しているスポーツライターの和田悟志さんに、各区の見どころなどを聞いた。

【箱根駅伝コース・高低差マップ】

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 1区は最初団子になって走るため、スパート力、突破力のある走者が選ばれる。2区はエース区間。3区はトラック主体の選手やスピードランナーが登場。

 そして「山登り」の5区。「山の神」と呼ばれるスペシャリストが登場する最高の見せ場だ。順天堂の今井正人、東洋の柏原竜二、青学の神野大地など、記憶に残る名選手がいる。

「神野選手は走りが軽く、腕を振って上っていくタイプ。柏原選手はキック力が強く、真下に接地してぐいぐい上る。今井選手はどちらも備えていた印象です。一方高度も標高874メートルあるので心肺能力も必要です」(和田さん)

 折り返して5区と同じ区間を駆け下りる6区は、着地衝撃が大きいので、身体の軽い選手の方が足への負担が少ないと言われている。身長が高く、歩幅の長い選手が走ることもある。

「小兵のほうが多い印象はありますが、平地ではありえないハイペースで駆け下りるので、歩幅は広い方がいいと考える監督もいます」(同)

 8区では午前10時を回ると相模湾からの反射日光や海風など、天候の影響を受けるので調整能力が必要とされる。そして10区。

「他の駅伝では僅差のフィニッシュがありますが、箱根駅伝では一番の僅差が早稲田が逃げて東洋が追う形だった11年の21秒差。あまり接戦になりません」

 実業団レベルの練習をする出場校もあるなか、文武両道で関東学生連合チームにエントリーされた選手もいる。

 関東学生連合チーム主将の阿部飛雄馬選手(23)は東京大学教育学部4年生。岩手・盛岡一高時代、駅伝有力校の誘いもあったが、東大で箱根を目指すことに意義を見いだした。東大の陸上運動部にはアドバイスをくれるコーチはいるが、指導者がいない。

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