ヨッピーさんの持論は「日常に不便が多い高齢者こそデジタル機器やインターネットを活用すべき」。今は東京と大阪で離れて暮らしていて、両親の面倒を日常的にみることはできないため、約4年前、まずはデジタル機器に慣れてもらおうと、父(69)にスマホ、母(67)にタブレットをプレゼントした。その際、無線LAN(Wi-Fi)環境も整えた。

「ガラケーからスマホに変更するのは親も抵抗がある。なので、新しくあげる、というのがいい」

 昔からテトリスやツムツムなどパズルゲームが好きだった母にはパズル&ドラゴンズ(パズドラ)のゲームをインストール。

「これ、たぶんハマるからやってみ?」と言って渡すと、案の定、毎日遊ぶようになった。

「毎日触る習慣をつけることが大事。触っていると操作を覚え、今は天気を調べたり、ニュースを読んだりして、Amazonプライムで韓国ドラマも嬉しそうに見ています」

 スマホより大きくて操作しやすく文字も大きいタブレットにしたのもよかったという。

 一方、父は通話機能とLINEぐらいしか使わないまま、老年期精神病を患ってしまった。

「親父(おやじ)はスマホに慣れる前に発症してしまったけど、あと2、3年持たせるのが早ければ、状況も違っていたかなと思いますね。自分なりに楽しみを見つけて、引きこもらず、病気も発症せずに済んだかもしれない」

 病気の影響で突発的に外出してしまうことがある父親。スマホにはGPS機能があるが、持ち歩く習慣がないため、GPS機器をレンタルし、別売りの靴に取り付けた。必要になった場面はまだないが、「母親の心理的な安心感はあると思います」。

(編集部・深澤友紀)

AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号より抜粋