ネット配信組の参入で制作はさらに自由度を増した。ネット配信では「60分ドラマをワンクール21回分作る」といった形式面の制限もない。1話目はほぼ事件が起こらず、長編小説のようにゆっくり立ち上がるドラマや、最初からシリーズ展開を拒否する「リミテッドシリーズ(ミニシリーズ)」も当たり前になった。毎週のように良作が配信され、アメリカの年間番組制作本数は02年から18年の間に3倍近くに増えた。視聴者はソファに寝転がっているだけで、質・量ともに優れた作品を謳歌できるのだ。

 ただし、アップル、ディズニーなどの大手が映像配信に参戦した今、「数チャンネル押さえておけば毎晩傑作を見られる」という贅沢な時代は終わりを告げそうだ。

 名作ドラマを堪能するならこの冬休みにぜひ!(ライター・鈴木あずき)

AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号より抜粋