とこのように、手と口をコントロールしているのです。最初は、口に水分が入ったら、むせたり口からダーッと全て出てくる場合があります。最初から、自分で持って飲むことは難しいので、おちょこくらいの小さな容器に少しの水分を入れて親が飲ませることからスタートさせます。赤ちゃんの飲む様子を見ながら、徐々にコップを準備し、コップを補助しながら飲ませ、その後、補助なしにするなど段階を経てコップで飲めるようになります。でもどうしても、服が濡れてビチョビチョになりやすいので、私はお風呂上りにバスタオルを身体に巻き付けている状態で水分補給としてコップ飲みの練習をしていました。のどが渇いているし、バスタオルがこぼした水分を吸ってくれるので、後片付けもラクチンです。

●スプーンを使う

 1歳ごろになり、手づかみ食べがスムーズにできるようになってきたら、今度はスプーンにチャレンジです。スプーンですくった食べ物を落とさない角度で口までもっていき、口の中に入れることはなかなか難しいこと。まず、すくえません。スプーンの角度が傾くとすくった食べ物が落ち、口に入れる角度が傾くと口に入りません。スプーンと口の距離感を考えなければうまく食べることもできません。

 ですので、最初は大人が食べ物をすくってスプーンにのせて、手を添えながら口に持っていくことからスタートさせます。スプーンを使えるようになってからもしばらくの間(2歳ごろになっても)、手づかみ食べとスプーン使いの両方をする子が多いでしょう。「お行儀が悪いのでは?」と思いがちですが、これは自然な流れなので、赤ちゃんが「自分で食べたい」と言う気持ちを尊重します。手づかみ食べの比重が多いのなら、無理のない程度に「スプーンで食べてみようか?」と誘ってみましょう。

 自分で食べることは、大人が思う以上に身体と頭を使います。自分で食べることは、自立に向けた大切な学びの時間。親ができる範囲でいいので、赤ちゃんの「自分で食べるって楽しい!」と言う気持ちや興味関心を育てながら付き合ってあげてください(文/中田馨)

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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