ぐちゃぐちゃになって親は困るが、自分で食べることは成長の一歩だ(写真/gettyimages)
ぐちゃぐちゃになって親は困るが、自分で食べることは成長の一歩だ(写真/gettyimages)

 生後5、6カ月を過ぎると始まる「離乳食」。離乳食は、ただ栄養を取るために食べるものではありません。9カ月を過ぎる離乳食後期以降から始まる、手づかみ食べ、コップ飲み、スプーンを使うことは、赤ちゃんの身体や脳をはぐくんでくれます。とはいえ、赤ちゃんに食べることを任せると、テーブル周りがぐちゃぐちゃに汚れてしまうので、親にとっては少々厄介なこと。自分で食べさせることに躊躇してしまいがちですが、この時赤ちゃんは「どうすれば自分で食べることができるの?」ということを試行錯誤しながらチャレンジしています。この経験が身体や脳をはぐくむので、ぜひ自分で食べさせてみましょう。

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●手づかみ食べ

 離乳食の本には「離乳食後期(9~11カ月)頃から手づかみ食べをスタートしましょう」と書かれています。私たち大人はカンタンに食べ物をつかんで口に入れて食べることができますが、赤ちゃんにとってはなかなか至難の業!なのです。手づかみ食べは、

(1)目で見て食べ物の位置を確認
(2)食べ物を適切な力で掴む
(3)つかんだ食べ物を口に持っていく

 とこのように、目、手、口の協調運動なのです。例えば、にんじんをつかむ時と同じ力で豆腐をつかむと豆腐はつぶれてしまいます。その食べ物が、温かいのか冷たいのかを感じることができます。最初は、手のひら全体で食べ物をつかんでいたのが、指先でつまめるようになり、顔全体に擦りつけるように食べていたのが、口にスムーズに入れることができるようになります。

 食べ物によって力の加減を変えることも、食べ物をつかんで口に持っていくことも、何度も何度も考えながら経験していくことで身につけるのです。最初は上手に食べられなかったり、食べ物をぐちゃぐちゃするだけで終わったりすることもありますが、この経験が将来のスプーンや箸を使う時、ボタンを留めるとき、お絵描きする時などの指先の発達に生かされるのです。

●コップ飲み

 コップ飲みも9カ月ごろからスタートさせるのですが、これも最初はうまくいきません。コップで水分を飲む時には、

(1)手でコップを支え、口元まで持ってくる
(2)コップの傾きを考えながら口の中に入れる水分量を調節する
(3)水分が口に入ったら、口からこぼれないように唇を閉じてから飲み込む

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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スプーンを使うのはどうして難しい?