カサンドラ症候群 絶望から抜け出すには「自分軸を強めては」 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)
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カサンドラ症候群 絶望から抜け出すには「自分軸を強めては」

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石臥薫子AERA#発達障害
AERA 2019年12月23日号より

AERA 2019年12月23日号より

イラスト:古村耀子(AERA 2019年12月23日号より)

イラスト:古村耀子(AERA 2019年12月23日号より)

野波ツナさんは『旦那さんはアスペルガー 奥さんはカサンドラ』(コスミック出版)で、身も心もボロボロになった体験を描いた

野波ツナさんは『旦那さんはアスペルガー 奥さんはカサンドラ』(コスミック出版)で、身も心もボロボロになった体験を描いた

 アスペルガー症候群の特性「共感性欠如」に苦しむ妻たちがいる。心を通い合わせられない孤独と、周囲に理解してもらえない2つの孤独に苛まれる。そんな「カサンドラ症候群」の妻は夫とどう向き合えばいいのか。AERA 2019年12月23日号から。

*  *  *
 臨床心理士で、夫婦関係と発達障害が専門の青山こころの相談室代表の滝口のぞみさんによると、彼らに相手を傷つけようという悪意はない。気持ちを考えてと言われても、脳の発達特性から「察する」ことが難しく、「普通なら」の「普通」がピンとこない。

「しかし、花が水を欲するのと同じように、親密な関係において情緒的な応答は不可欠です。最低限の共感すら得られないと妻は絶望します」(滝口さん)

 お金に関するトラブルも多い。共感は気持ちのシェアだが、カサンドラ妻の夫たちは、お金のシェアも苦手だという。結果、徹底した締まり屋か無頓着か、極端に振れやすい。超がつくお金持ちなのに家計を1円単位でチェックする人もいれば、『旦那(アキラ)さんはアスペルガー』(コスミック出版)シリーズで知られる漫画家の野波ツナさんの夫のように家計には全く関心を持たず、無計画に仕事を辞めたり、突然、借金が発覚したりする人もいる。

 家族が困難に直面した時も、問題を共有するのが難しい。神奈川県の30代の女性は4歳の子どもに、自閉症スペクトラム(ASD)と注意欠陥・多動性障害(ADHD)があることがわかったが、夫はほとんど取り合ってくれない。それどころかちょっとしたことで激高し、「お前が悪い」「バカ、死ね」と暴言を吐く。モノに当たるので、冷蔵庫はへこみ、プラスチックの衣装ケースも粉々にされた。外では法律関係の仕事をこなしている夫が、家ではこんな状態だなんて、誰にも言えない。

「周囲の人はカサンドラ妻に『どうしてそんな人だと気づかなかったのか』と聞きたがります。その質問は彼女たちをさらに苦しめますが、夫たちは結婚するまではまっすぐでいい人だったのです」(滝口さん)

 アスペルガータイプの人は、システマチックな思考や言語能力に優れ、高学歴・高収入であることも多い。シリコンバレーでの有病率は1割とも言われるように、論理や数字が重視される世界では高い能力を発揮する。しかも、相手の気持ちを忖度しないため、正直でピュア。ルーティンが好きで予想外の出来事に対処するのが苦手という特性も「ちょっと不器用だけどかわいげがある」と映る。


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